16歳の時にイギリス留学した先は、イタリア系イギリス人のご家庭で、イタリアンマンマが毎日ピザとパスタを作ってくれていました。それまで、私は家庭科の授業以外では、料理をほとんどしたことがなかったので、この時に一緒に作ったピザやパスタはとても鮮明に記憶に残っていて、今でも私の味付けはイタリアンマンマ直伝のレシピに基づいています。
そのイタリアンマンマが毎日欠かさず使っていたのが「トマト」です。
イタリアに滞在したときにも、マーケットにはさまざまな種類のキラキラと輝くトマトが並び、トマト売りのおじさんから試食させてもらうだけで、お腹いっぱいになるほどでした。
たくさん太陽の光を浴びたトマトには多くの栄養が含まれており、人間が生きていくために必要な心臓に働きかける食材でもあります。しかし、ちいさなお子さんにとっては苦手な食材のひとつかもしれません。これは、私の息子のケースですが、それぞれの食材がどのような働きをしているかを教えてあげると食べることがよくあります。
なんでもそうなのですが、親がまずは知る努力をすることが大切だと思います。親は完璧ではなくて良いのですが、子供にとって親は絶対的な存在です。このことを考慮して、学べる部分は学んで提供してあげるのも親の役割なのかなと思っています。
トマトのリコピンが与える健康要素3選
リコピンはさまざまな研究機関で結果が発表されていますが、その中のいくつかをご紹介します。(参考文献は下記に記載)
心臓疾患のリスク低減: リコピンは抗酸化物質であり、体内の活性酸素を除去する働きがあります。これにより、動脈硬化や心臓病のリスクを低減します。例えば、長期間トマトやトマト製品を摂取することで、心臓疾患の発症リスクが低減するという研究結果があります。ある調査では、トマトソースを週に2回以上摂取する人々は、心臓疾患のリスクが低いことが示されました。
LDLコレステロールの低下: LDLコレステロールは悪玉コレステロールとして知られ、動脈硬化のリスク因子です。リコピンはLDLコレステロールの酸化を抑制し、血管壁に蓄積するのを防ぎます。研究によれば、リコピンを豊富に含むトマトジュースを8週間飲むことで、LDLコレステロール値が有意に低下したという報告があります。
血圧の調節: リコピンは血管内皮機能を改善することで、血圧を調節する効果もあります。ある研究では、リコピンサプリメントを摂取した高血圧患者が、血圧が有意に低下したと報告されています。特に高血圧の人々にとっては、トマトやリコピンを摂取することは血圧管理に役立つかもしれません。ご自身やご両親の健康を今一度振り返ってみてください。
リコピンを日常に取り入れる
トマト嫌いのお子さんがトマトを食べるための工夫はたくさんあると思いますが、これからは家庭菜園でトマトを育ててみるのもありだと思います。室内で育つ品種もありますが、お日様の光をたっぷり浴びさせることで、トマトの栄養価はぐんと上昇します。また、イタリアンマンマのように、子供が好きな味付けのトマトソースを考案しておくと、パスタやピザに混ぜたり出来るのでおすすめです。トマトと相性の良い食材の代表としては、ほうれん草が挙げられます。この二つの野菜が持つ栄養素はお互いを補完する役割があります。また、トマトのさわやかな酸味とほうれん草のうまみは、料理において素材の味を引き出すので、とても美味しい組み合わせでもあります。
参考文献
Rao AV, Agarwal S. Role of antioxidant lycopene in cancer and heart disease. J Am Coll Nutr. 2000 Oct;19(5):563-9. doi: 10.1080/07315724.2000.10718953. PMID: 11022869.